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津山の鉄道遺産

扇形機関車庫、木造駅舎に転車台。
鉄道の発展の象徴が今も変わらず残っています。

私は産業の発展のなかで生まれた産業遺産を研究する「産業考古学」が専門です。その対象となるものの中に、鉄道などの交通機関、橋梁やトンネル、駅舎や機関車庫、転車台などの鉄道遺産があります。
研究の初期に手がけたのが津山線の鉄道遺産です。その遺産群の中でも、昭和11年(1936年)に造られた「旧津山扇形機関車庫」が最も大きな鉄道遺産です。大正時代に造られた京都の「梅小路蒸気機関車庫」に次ぐ、日本で二番目の規模の機関車庫です。さらに価値のあるのが、昭和7年(1932年)に開業した美作河井駅に残る「転車台」です。ここでラッセル車を回していたもので、桁の長さは40フィート。明治時代に輸入されたもので、現存するのは国内では4例だけという貴重な鉄道遺産です。
ほかにも、木造駅舎の美作滝尾駅、松ボウキ橋梁など見どころが随分とあります。それに、明治12年(1879年)に誕生した日本初の機関士6人のうちのひとりは津山市の出身なのです。

D51-2

昭和11年(1936年)に製造された「D51-2」。デゴイチの愛称で親しまれ、11~19年まで1115両が製造された日本最多製造SLの2号機。終戦後も46年(1971年)の引退まで、国内の幹線で貨物輸送を担ってきた貴重な車両という。大阪の交通科学博物館が閉館により移設されました。

DE50-1

DE50-1は国内で1台のみ製造された国産最大最強のエンジンを積んだディーゼル機関車のことで昭和45年(1970年)に誕生し、平成14年(2002年)からは津山の扇形機関車庫で保存されています。国内ではこの1両のみが唯一現存していて大変貴重です。

旧津山扇形機関車庫と転車台

平成20年(2008年)10月、貴重な鉄道文化遺産の散逸を防ぐため、旧津山扇形機関車庫と転車台・美作河井駅転車台が西日本旅客鉄道株式会社の「登録鉄道文化財」に指定されています。また、日本の産業発展に貢献したとして、平成21年(2009年)2月に経済産業省の「近代化産業遺産」に認定されています。
木造駅舎をめぐる列車の旅

昭和レトロな木造駅舎、 国内では数少ない 貴重な鉄道遺産も。

津山・智頭間を走る因美線の沿線では、古きよき時代の駅舎が数多く保存されています。旅の途中で出会うことのできる昭和レトロな木造の駅舎は、ノスタルジックな気分を盛り上げてくれます。また、美作河井駅に残る転車台は、明治の鉄道黎明期に輸入されたもので、国内に4例程度しか残っていない貴重な鉄道遺産です。


美作滝尾駅の名物!?
寅さんに扮した地元町内会長

堀坂町内会 会長
内田晶二さん

因美線の津山・智頭間を往復するイベント列車「スローライフ列車」。美作滝尾駅でお客様をお迎えするのが内田会長です。美作滝尾駅は渥美清主演の『男はつらいよ』シリーズの第48作『男はつらいよ 寅次郎紅の花』の冒頭に登場します。内田会長は寅さんに扮して、列車の旅を楽しむお客さまをおもてなししています。